2021年度 共同研究班 | |
代表者 | 神戸市外国語大学 林 範彦 教授 |
構成員 | 神戸市外国語大学 秦 兆雄 教授 神戸市外国語大学 櫻井 次郎 教授 神戸市外国語大学 津守 陽 准教授 神戸市外国語大学 紺野 達也 准教授 兵庫県立大学 陳 來幸 教授 兵庫県立大学 萩原 弘子 教授 京都大学 小島 泰雄 教授 |
研究の目的及び意義
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本研究構成員は学園都市近隣大学教員で中国を研究対象とする研究者間の研究交流を目的に組織され、今回で第7期の共同研究となる。第6期には流通科学大学(代表:辻美代教授)から「グローバル時代の新しい教養―未来に向けた日中交流と日中相互関係」を研究テーマとした共同研究班を申請し、2018年から約3年間(新型コロナウィルス蔓延による1年間の延長を含む)の共同研究を行った。その間、近隣大学の大学院生にも研究会をオープンにしながら、それぞれの専門分野から報告を行い、討論の場を設けてきた。中国から環境問題のNGOのゲストを招き、現地の活動に関する報告会も行った。 日本には現在約77万人の中国人が、中国には約12万人の日本人が在留している。グローバル社会は全世界的に顕在する状況となり、世界のあらゆる都市で多文化共生社会の構築が課題となっている。一方で、これまでの一様な文化観が揺らぐことに対する恐れから、異文化排斥のムーブメントも散発的ながら生じている。 こんにちの日中関係においては、相互に尊重し、他者から学んできたこれまでの経緯を踏まえつつも、政治的関係においては自国利益の追求とイデオロギー上の対立から不安定な状況は否めない。これにより、日本における中国に対する一般イメージもいまだに肯定的な評価が少ない。新型コロナウィルスの蔓延の状況はさらにこの否定的な状況に追い討ちをかけたところがある。 日中は一衣帯水の隣国として、今後もより一層強固な関係を結ぶ必要がある。もちろん日中双方とも相互の国のみならず、世界各国からの出身者を包摂するわけであるが、刺激を与え合いながらも友好な関係を築いて、真に心地よい多文化共生社会を構築するためには、まずは日中の相互理解を一層促進しなければならない。 ここで改めて、両国間の文化交渉、経済交流、人的交流に関し、その歴史的意義と実態を確認、共有することは極めて重要である。本研究班はこれらの知見を教育に還元することで、地域社会並びに若い世代に対する日中の相互認識の強化と醸成に努めなければならないと考えている。さらには、日中関係の新たな枠組み構築が必要とされる現在、若い研究者層が先細りとならないよう、学園都市に所在する中国研究を志す大学院生に対して、日中の相互理解を真摯に考える場を提供することも重要だと認識している。 本共同研究を通じ、多様な分野の中国研究者が相互に啓発し合いながら、グローバル化時代の新しい教養として、日中関係のあり方と両国の社会像が導き出されることが期待できる。そしてこのことが両国における今後の多文化共生社会の構築に対する知見として蓄えられていくことになろう。同時に、若い世代へのメッセージ伝達と意見交流の場が提供できる意義は大きいと考える。 |
研究実績・成果 | 研究成果 |